長い漫画を描くといつも考えるのですが、だいたい私は自分の中に思いついた物語を映像化していて、それを転写してるにすぎない感じであります。
やっぱり映画好きで、そのせいなんだろうとは思うんですが、前に浦沢直樹が漫画の作り方の話をしてて同じようなことを言ってて(予告編が頭に流れてそれをメモっておいて間を繋ぐみたいな)、私だけじゃなく結構な数の人がそういう感じで漫画描いてるんじゃないかなと思ったりするのです、意識的か無意識かは別としてですが。
自分の生い立ちについて考える機会があり、やっぱり父親が大好きで観てたヒッチコックの映画は私にかなり影響を与えているのではないかと思いました。
ヒッチコックといえば鳥!というのももはや三十路以上の人でないとわかんないんじゃないかと思うくらいヒッチコックってちょっと風化しつつありそうで怖いのですが。
ヒッチコックの何が凄いかというと、映画を撮るたびに自分の撮りたい絵を撮りたいがために新しい手法を開発するとか、女優さん俳優さんに無茶な格好をさせて、それが人間の構造的に不自然であってもそのポーズをさせて、それがまたカメラに収まると絶妙に美しいという、要は「偏執的に自分の中の物をフィルムに再現する」という部分がとても素晴らしいということです。
そういう監督さんはまぁだいたいスタッフから嫌われてたり怖がられてたりして変人伝説があったりはするんだけど、伝説的な作品を残すもんなんですよね。
ヒッチコックの映画で有名な無茶なポーズが「キスシーン」です。
ぽっちゃりオタクのヒッチコックは、金髪美女が大好きだったのですがまず自分の方には振り向いてもらえず、その恨みを晴らすがのごとく、自分のなりたかったベタなハンサム男優を自分に見立て、大好きな金髪美女と芸術的に美しいキスシーンを撮るわけですが、ま~美しい。けど、裏話としては大変むちゃくちゃで骨折するわ!!みたいに言われてたりします。
たとえばこんな感じ。

これたぶん男性が電話してるとこに女性がきてキスしてるんですけど、頭そらし過ぎじゃないですか、普通に考えて。不自然なんだけど~、でもそれに気づかないくらい鼻とか顎のあたり具合がキレイなんですよね!
というわけで、先日某でぃーえむ先生がギリアム×シレーネのエロふつくしい絵を描いてらして萌えた私の大好物ギリアム×シレーネで実験~

ま、そこそこ美しい感じにはなりましたがまだ女性の顔の傾け方が甘いですな!!!
では折り畳んでヒッチコックの構図の美しさについて!
拍手ありがとうございます!!!
[1回]
どうでもいいけどヒッチコックの映画のいいところは、上げると果てしないのですが、
オープニングが凄いかっこよくて凝っている、うえに、ポスターが素晴らしい。
「めまい」のポスターのセンスのよさったらないよね!
ダイヤルMと北北西もヤバイ
さて、映画というのはカラーになるまでは白黒ですべてを表現していたわけで、そういう意味でも漫画に活かせるものがあると思うのですが、ヒッチコックの映画で一番白と黒が強調されているなと感じたのは「レベッカ」です。
こわーい召使い?みたいな女の人が黒くて、若奥様?が白いのが、物語のスリリングな内容と合っていて、黒い人がせまってくると不安になるんです。

「さああなたもここから落ちてしまえば楽になるのよ…!」と後ろのマダム!!怖い!

これは「バルカン超特急」かな?
一目見て窓の外の緊迫感が伝わる構図!そしてやっぱりちょっと無理のある構図。

これは「めまい」かな。映画のシーンなのか宣材写真なのかわかりませんが、目線と不自然な構図がかっこいい!

これは「疑惑の影」かなぁ 伯父さんが怖いんです。
影の使い方が秀逸だと思いませんか!!

影の使い方といえば、もうこれはお手本中のお手本すぎる「サイコ」の有名なシャワーシーン。
ライトの配置、シャワーの筋、ナイフを構えた影の構図、完璧っすな!!!
サイコのシャワーシーンだけをきちんとおさらいするだけで、たぶん緊迫感のあるシーンの見せ方を勉強できると思うんですよ!!
映画がカラーになってからもヒッチコックの絵のセンスは衰えずです。

これはかの有名な「鳥」です。
鳥は「圧倒的な何か」が怖いんですよねーその怖さを表す為には、その密度というか見せ方がやっぱり肝だと思うんですよ。

「北北西に進路をとれ」の有名なシーン。
個人が圧倒的な力の差を見せつけて追いつめられる図も、やっぱりこの空、この肩越しの飛行機、果てしなく何も無い道、という完璧なさじ加減!
こうやってずらっと並べるだけでも壮観だなぁ。
ヒッチコックの映画、ぜひおすすめです!!
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